さかいゆうの魅力を語る時、そのたぐいまれなる透明感を持った「涙をいざなうシルキーボイス」にまず耳を持って行かれる。どうしても声に酔ってしまう。それで何も悪いことはないのだけど、フライドチキンの肉を綺麗に食べた後の骨の先の軟骨が実はすごく旨かったりする(例えが個人的ですいません)ように、さかいゆうの音楽の味わい方も別の部分があるのだ。
さかいゆうの軟骨、それは山崎のそれにも匹敵し、遜色ない「ビート」である。まずは百言は一聴こ如かず。このページの動画を見て欲しい。一人多重奏レコーディングのシリーズ。
http://www.office-augusta.com/sakaiyu/onlyyu/
さかいがリズムをリアルタイムで打ち込んでいるビートの取り方に注目してみると、何度となくタイミングをずらしてやり直していることが判る。その都度さかいは「これだとちょっと突っ込んでる」などとぶつぶつ言っているが、あまり意味はない。さかいが調整しているのは、自分の歌がその上に載る時に、どのような心情のニュアンスを加えるかと言うことを基準として、リズムのタイミングをとっている。
ようするに、ビートで感情を制御しているわけだ。当たり前のようでいて、これはなかなか理解しているアーティストは少ないし、理解していても実践できているというと実にごく稀だと思う。
優れたボーカリストは、楽器間のビートの揺らぎ=グルーヴを瞬時に体感し、その中でビートを作り出すことに長けている。その場に音楽を供出させる技術と言うことでは、このことはすでに大変高いレベルだ。
さかいや山崎は、さらに、その楽器のグルーヴすら自分の制御下に加えているのだ。とことんどん欲に、エゴイスティックに、自分だけのビートにこだわる。そこにはその人でしか出せない音楽世界ができあがる。一人のみから発信される音世界、それを構築できるアーティストこそ「全身音楽家」と呼びたい。
2月26日に福岡で行われた、さかいゆうと山崎まさよしの全身音楽家同士のセッションは、本来の意味で異種格闘技であって、妙に興奮させてくれた。山崎が当然と言わんばかりに自分独自のグルーヴで進み出したところを、先輩だけどここだけは譲れんもんねとばかり、さかいも全く自分のビートでの演奏を曲げない。グルーヴは次々と上書きされ、もつれあい、混じり合わないまま螺旋を描き高まっていった。
音楽で最も大切な要素は、ピッチでなく、ハーモニーでもない、美しさでも、もしかしたら心でもない。
それは、生きていることの根源から沸き起こってくる要素、ビートである。
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New Album「ONLY YU」
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【収録曲】
M1. music
M2. AHEAD
M3. ケセラセLife
M4. ソングライダー
M5. It's YOU
M6. 夏のラフマニノフ
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太郎サン、お疲れ様です。
約束を果たし書いて下さって、ありがとうございます☆
今回も興味深く読ませていただきました。
最初“シルキーヴォイス”は、私にはtoo sweetな印象が否めなかったのですか。。。
今回【ONLY YU】のアッパーチューンたち!めっちゃイイ~~~ッ♪♪
ふむふむ。。なるほどビートですか。
まさやんもパブリックイメージ的には【ワンモア】系がイチオシ!な風潮(?)ですが、ワタシ的にはもっとアッパーなのをオシてくれもイイのになぁ~だったりします。
そして、それらはライブでこそ更に魅力を放つカンジがしました。
え゙ぇ!?“心”じゃナイの??(←私は過度に崇拝傾向?!汗)
誰もがその終焉の時まで、生涯ずっと内に持ち続けるビート。
と思うと、何だか合点がいきますね。。。
投稿情報: 青月石 | 2011年4 月 2日 (土) 19:37